不祥事への対応で企業の実力がわかる

昨今コンプライアンスに対する意識や、対話力に基づいた透明性を企業
が求められるようになっています。

「見えない価値」「見えない資産」を多く保有する企業は、こうした点
でもアドバンテージになるのですが、不祥事が起こる可能性をゼロにす
ることはできません。

投資家も不祥事の発生を事前に予測するのは不可能ですが、企業の定点
観測をしていると「企業の様子がおかしくなっている」と感じることが
あります。「業績悪化の連続で従業員の士気が低下」「部署同士の連帯
感に齟齬が生じはじめる」「有能な従業員の退職」など、いろいろな点
から感じ取れるのです。

企業の不祥事に関しては、顧客データの流失、食品の成分偽装、証券会
社のインサイダー疑惑、バブル期からずっと続いていた粉飾決算、極め
つけは原発問題に対する電力会社の稚拙な対応、ほんと枚挙に暇があり
ません。

業績は絶好調、製品は圧倒的シェアを獲得、世界規模で見ても競争力が
あり、プロのアナリストや投資家からも大人気という企業なのに、調査
する度に「どうも気持ち悪い」と感じて、投資するのを見送った事例が
あります。

そしてその後、その投資を見送った企業の不祥事が発覚して、「なるほ
ど、あの感覚はそういうことだったのか」と納得することもあります。
短期の業績だけに目が行って調査すると、そういったことを感じ取るの
は困難だと思われます。

長期的投資に値する成長し続ける企業を探す時は、企業との対話を通し
て、企業の透明性やコンプライアンスに対する意識があるか、企業理念
に基づく従業員が楽しく仕事ができる文化を持ち、不祥事が起こりにく
い土壌か否かなどのポイントに注意を払いながら選択しなければなりま
せん。これこそが長期的投資をする人々ができるリスク管理術だと思っ
ています。

また仮に問題があってもそれを隠さず「我が社には現在、このような不
安定要素がある。だがこれに対応するために対策を講じている」と具体
的に話す企業は、その問題が企業の成長にプラスに働く可能性がありま
す。抱えている問題や企業の弱点を経営者がちゃんと認識し、それが社
内の人間に共有されているということは、それが解決できる可能性が高
いのです。

ある企業では、「トップが問題を認識せず、ナンバー2が問題解決のた
めに苦労している」という例があり、実際にその企業のナンバー2が嘆
いているということがありました。問題が共有されていれば全社を挙げ
て問題解決に進んでいけるのに、愚痴が出るということはそうではない
ことをあらわしています。

その企業は表面的には好調でしたが、「強いところだけに目が行ってい
るだけで、企業としての健康状態は必ずしも良く無く、この先厳しいの
ではないか」と判断されることもあります。

「財務情報以外の情報にも精通して企業価値を把握し、それを考慮して
投資したい」という投資家の想いに企業側が対応してくださるのは、投
資家が長期的に株を保有する出資者であるからです。

企業側からは「短期しか見ていない投資家と違う視点で話ができる」
「話していて楽しくなる」という言葉をもらうのはこのような投資家で、
企業との信頼関係を構築し、その上で投資できるのはとても幸せなこと
だと思いませんか。

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