長期の運用成績を確実に悪化させる日本の信託報酬

日本の投資信託の中には買ってはいけないようなものが多くあ
り、その最大の理由としては「投資にかかるコストが高い」と
いうことがあげられます。

投信には「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3つの組織
がかかわっており、それぞれに手数料が支払われるしくみです。

販売手数料・・・銀行や証券会社、郵便局など、投信を販売し
        ている会社に対して購入時に支払う手数料。

信託報酬・・・・保有期間中に継続して資産から差し引かれる
        もので、販売会社、運用会社、信託銀行のそ
        れぞれに支払われています。

信託財産保留金・解約するときにかかる投信もあり、信託財産
        に戻されるため、厳密には手数料ではありま
        せんが、コストを差し引いた実質収益を考え
        る際には意識しておきたいところ。

その他のコスト・監査費用、販売委託管理料、保管管理料など
        がかかります。

まず最初にかかる手数料である「販売手数料」の内訳は、パン
フレットや宣伝物にかかる費用の他、商品内容の説明料として
支払うもので、銀行や証券会社の窓口で投信を購入すれば、購
入金額に対して2~3%の手数料を徴収されるのが一般的。

最近ではこれに対してインターネット証券や銀行などを通じて
投信を買うと、販売手数料がかからない(ノーロード)商品も
あり、ネット販売に抵抗のない方にはこちらがおすすめです。

100万円を3%の販売手数料がかかる投信に投資した場合に
は、消費税を含めた約3万円もの手数料がかかります。

投資先進国の米国の販売手数料事情を見てみると、一般の人が
買える投信のうち、販売手数料が無料(ノーロード)の投信が
約65%を占めています。

それに対して、日本の投資信託の中でノーロードで買えるもの
の比率は約7%程と、投資先進国である米国に比べてケタ違い
に少ないのが分かります。

ただ、米国のノーロード投信の中には別途投資アドバイザーに
管理手数料を支払うタイプも存在しますが、それを含めても日
本の手数料より安く設定されています。

次に、長期の運用成績を確実に悪化させる要因のひとつでもあ
る「信託報酬」についても考えていきます。

投信は購入した後もさまざまな手数料がかかるわけですが、そ
の代表が「信託報酬」と呼ばれるもの。

販売手数料は購入したときに一度支払えばいいのに対して、信
託報酬は運用期間中に継続して差し引かれるため、運用成績に
対して大きな影響があります。

100万円を年平均6%(1年複利)の利回りで20年運用し、
信託報酬が1%と2%の場合の違いは次の通りです。

20年後の総資産は・・・

信託報酬2%・・・約220万円

信託報酬1%・・・約265万円

信託報酬0%・・・約320万円(仮にゼロ%の場合)

以上のように、1%の違いで40万円(40%)もの差がつい
てしまうことになり、仮に元金が1,000万円であればその
10倍の400万円の差になります。

ですから、たった1%だと思って軽視していると、長期で複利
運用する場合には、信託報酬のわずかな差が大きく運用結果に
影響を及ぼすのです。

ここでも米国と日本の信託報酬を比べてみると、日本の信託報
酬は米国に比べて2倍程高いという現実があり、日本の銀行な
どでよく販売されている投信では、販売手数料と信託報酬を合
わせれば1年目には元本の3~5%程を手数料として徴収され
るしくみです。

仮に100万円を投資した場合、3~5万円もの手数料を支払
うことになります。

これに対して米国では「バンガード500インデックス」のよ
うに、販売手数料は無料で、信託報酬も0.17%といった低
コストの投信が多数売りに出されている会社もあり、仮に投資
金額が100万円であった場合、年間コストは1,700円程
度と、比較にならない程小額。

この差自体も大きいものですが、前述の例の通り複利の効果で
得られる運用利益はまったくといっていいほどに大きく違って
くるのです。

さらに悪いことに、日本の投資信託の信託報酬は1980年代
以降、上昇の一途をたどり、投資評価会社の調査によれば、日
本の1970年代の信託報酬は0.8%程だったのですが、バ
ブル崩壊後デフレによって物価が下がったにもかかわらず、信
託報酬はむしろ下がらず、反対に上昇している有様。

この主な原因として考えられるのが、販売会社に投資信託を多
く販売してもらうために、信託報酬に含まれる販売会社の取り
分を増やしていることがあげられます。

いうなれば、売り手の都合だけで信託報酬と呼ばれる手数料が
上昇してわけであり、投資家のことを考えた商品開発や販売を
しているとは到底思えないのが日本の主な投資信託の現状なの
です。

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