販売会社が投資信託の長期保有を望まない理由とは

本来、投資信託は短期売買には向いていないのにもかかわらず、日本で
は投資信託の平均保有期間がどんどん短くなっていることをご存じでし
ょうか。2008年の投資信託平均保有期間は4年超えであったものの、
リーマンショック後には3年超え程度に短くなり、2012年には2・
3年までになっています。

なぜこのように保有期間が短くなっているかを突き詰めると、どうやら
投資家、金融機関、そのどちらにも問題はありそうです。

はじめに、販売会社においての、投資信託の販売のされ方を見てみます。

運用会社が直接ファンドを販売する場合には、販売手数料は無料(ノー
ロード)です。しかし、一部のネット証券やネット銀行のファンドを除
き、ほとんどの販売会社が「投資額の○%」というように、決められた
率でファンドの販売手数料を定めています。

販売手数料とはファンドの説明・購入手続きや、購入後のフォローをし
てもらうための費用で、投資信託の購入時にかかります。これは全額が
販売会社の収入です。

また、ファンド保有期間中には、ファンドの運用や資産管理、運用報告
や分配金の支払を受けるためのコストとして信託報酬がかかります。信
託報酬とは、ファンドごとに「託している資産額に対して年間○%」と
いう具合に決められるもので、こちらはファンドが運用されている期間
中ずっと、運用会社、受託会社(信託銀行)、販売会社(銀行や証券会
社)へ決められた比率で分配されます。

ファンドが値上がりして資産が増えれば、投資家が喜ぶのはもちろん、
運用会社、受託会社、販売会社各社が手にする信託報酬もファンドの純
資産に連動して増え、ウィンウィンの関係が築ける仕組みです。本来な
らば他の金融商品よりも長期間をかけ、この関係を築き上げるのが投資
信託なのですが、販売会社単独の視点から見ると事情が少し違ってきま
す。

販売会社にとってみれば、投資家が保有しているファンドを売って、別
の新しいファンドに買い替えてもらった方が収入があがるのです。ファ
ンドによって差はあるものの、販売会社の収入は信託報酬よりも販売手
数料の方が大きいためです。おのずと販売会社は、ひとつのファンドを
長く持ち続けてもらうよりも、より値上がりが見込めるファンドをお勧
めして、乗り換えをしてもらうほうに尽力するようになります。

立場としては運用会社よりも優位な立場にある販売会社が、長期間かけ
てファンドを育てることに消極的にならざるを得ないこの仕組みが、日
本の投資信託の保有期間を短くさせているのです。

一方、投資家側にも問題はあります。投資信託保有者・保有経験者を対
象に投資信託協会が行った調査によると「分配金が支払われた分だけ基
準価額が下がる」という、投資信託の基本を知っていた人は全体の20
%ほどだったそうです。

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