株取引の失敗事例(デイトレードの盲点と恐さ・・・)

定職を持たない、いわゆる「フリーター」のSさんは何とか収
入を確保したいと常々思っており、そんなSさんの目に留まっ
たのが本屋で見た「デイトレードで私が1億を稼いだ方法!株
取引は面白い!」という本でした。

フリーターのSさん、手持ち資金は少ないのですが、定職に就
いているサラリーマンなどと違い、時間はたくさんある上に好
きに使える身分のため、これはいけると考え、早速証券会社に
口座開設をして入金も済ませました。

ここでいう「デイトレード」とは、「株を秒単位という短時間
で細かく取引をして稼ぐ方法」のことを指し、値動きの激しい
株に注目をして、1日に何度も取引をするため、パソコンの画
面を一日中見ていなければなりません。また、デイトレードを
する人を、デイトレーダーと呼びます。

入金を済ませたSさんは早速行動に出ます。Sさんが注目をし
た株は「XXバイオテクノロジー社」という、バイオ業界のベ
ンチャー企業でした。

研究していた新薬が承認されたり、ガンや糖尿病などに効果の
ある薬の承認されたりして事業が軌道に乗れば、バイオ業界関
連の株を持っていれば大儲けできるジャンルでもあります。

しかしその反面、研究開発費などに巨額の費用がかかる業界の
ため、赤字の会社も少なくなく、当たればリターンも大きいの
ですが、投資をするには非常にリスクの高い業界でもあります。

特にXXバイオテクノロジー社の1日の株価の値動きは激しく、
デイトレーダーの間では有名な企業となっていました。

株式市場が開く朝9時、Sさんのデイトレードへの挑戦が始ま
りました。

アルバイトで貯めた20万円を使い、手元には本屋で購入した
デイトレードの指南書を片手に、毎日コツコツとマメに売買を
繰り返していきました。

まずは今の手持ち資金の20万円を、とにかくできるだけ増や
すことが当面の目標となります。

時間はたっぷりあるSさん、毎日パソコンにはりつき、その日
の儲けや損をエクセルの表に入力をしていきました。

◆1日目・・・+5,000円

◆2日目・・・-1,500円

◆3日目・・・+2,000円

◆4日目・・・-3,000円

◆5日目・・・+1,000円

      ・
      ・
      ・

このように、勝ったり負けたりしながら1ヵ月が経過し最終的
に1ヵ月の儲けを計算してみると、儲けは1,000円となり
ました。

もっと大きく儲けるつもりでいたSさん、こんなものかと思い
ましたが、取引にも慣れてきたため、来月こそは大きく儲けて
やろうと、気持を新たにするのでした。

しかし、証券会社の口座残金を確認してビックリ!19万円弱
しか手持ち資金が残っていません。

20万円を使ってデイトレードを繰り返し、儲けは1,000
でしたが、マイナスにはなっていないはずなのですが・・・。

でも、冷静になってよく見てみれば「取引にかかる売買手数料」
が引かれていることに気付き、株取引をすれば損得に関係なく
取引手数料分は確実に差し引かれていきます。

手数料定額タイプを選択していたSさんですが、毎日のように
取引を繰り返せば、手数料のコストは運用利回りを確実に下げ
てしまいます。

「何だ、1,000円の儲けではなく、マイナスなんて、デイ
トレードは労力の割に儲からないな、アルバイトをしていた方
が確実に儲かるよな・・・」と、落ち込んでしまったSさん、
明日からデイトレードをしようという気力がなくなってしまい
ました。

◆Sさんの失敗事例の反省点とは・・・

デイトレードで大きく儲けるつもりだったSさん、取引自体で
は1,000円の儲けだったはずなのですが、最終的には1万
円程のマイナスになってしまいました。この取引における反省
点とはどのようなことなのでしょうか?

【株取引にかかる手数料の存在を小さく考えていた】

ネット証券は手数料が比較的安いとはいえ、50万円までの株
取引で1日450円ほどの手数料がかかります。

デイトレードは毎日株取引をするため、その金額を20日間で
計算すれば、450円X20日間=9,000円ほどの手数料
となります。

20万円の元手に対して9,000円もの手数料がかかる計算
となり、月に5%近くも手数料を差し引かれていることになる
ため、これでは儲かるはずもありません。

1日では450円の手数料も、1ヵ月となれば無視できない金
額となるため、取引にかかる手数料の存在を忘れるわけにはい
きません。

【デイトレードは誰でも簡単に儲かると安易に考えていた】

デイトレードのしくみをごく簡単に表現するなら「参加者同士
のお金の奪い合い」というひとことに尽きます。

証券会社に取引手数料を何度も支払いながら、同じ器(株式市
場)にあるお金を奪い合い、最後に生き残った人が勝ちとなる
過酷なゲームともいえます。

わかりやすく解説すれば、A・B・Cというデイトレーダーが
株式市場でお金を奪い合う構図は次の通りです。

       手持ち資金
—————————————————————————————
初心者Aさん 10万円 ⇒ -9万円(-手数料)大負け
—————————————————————————————
中級者Bさん 10万円 ⇒ -1万円(-手数料)やや負け
—————————————————————————————
上級者Cさん 10万円 ⇒ +10万円(-手数料)勝ち組
—————————————————————————————
    合計 30万円 = 合計30万円(-売買手数料)

上の表では、上級者のCさんだけが儲かり、あとのAさん、B
さんは損をしてしまいました。

この取引で注目したいのは、手持ち資金のトータル額があっち
こっちに動いているというだけで、Cさんは今回は勝ちました
が、最終的に手堅く儲けたのは手数料収入のある証券会社だけ
という結果かもしれません。

このようにデイトレードとは、株式市場を通じてたくさんの参
加者の中で繰り返しお金の奪い合いをする取引方法で、会社に
資金が投じられる時間がほんの一瞬のため、会社の価値創造に
貢献しないという負の側面もあります。

このような取引方法がデイトレードの本質といえるため、資産
運用として株取引に取り組もうと考えているならば、短時間で
参加者同士がお金を奪い合うというデイトレードには絶対に手
を出すべきではありません。

プロの投資家でさえ一瞬で巨額の資金を失う可能性のある取引
現場に、素人の一般投資家がノコノコと参加して儲けられるほ
ど甘い世界ではありません。

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