個別銘柄を追うだけでは見えないものがある

◆個別銘柄を追うだけでは見えないものがある

個別銘柄の上下変動については、さまざまな要因がありますが、その中
でも不可解なもののひとつに、「マーケットのエネルギー」というもの
があります。このとても抽象的な言葉が、株価の変動を予測を困難にし
ている原因とも言われています。

2013年5月末から6月中旬にかけてのマーケットの急落は記憶に新
しい人も多いでしょう。5月23日は、日経平均は1000円以上も値
下がりしました。全1713のうち、1691という東証一部の99%
もの銘柄の値下がりです。それほどの銘柄が一度に値を下げるような悪
い材料は果たしてあったでしょうか。

実は特に悪い材料はありませんでした。

これは2012年11月から続いていた上昇相場への「行き過ぎ」を示
すエネルギーが働いたということになります。この時から5月末までの
約半年、アベノミクス相場により日本株は上昇しました。80%という
上げ幅が出たこともあります。

しかしこの上げ幅に対し、市場ではだんだんと「過熱感」が生じてきま
した。日経平均株価と25移動平均の乖離率、騰落レシオ(25日移動
平均)の指標の異常なまでの高まりです。

上昇のエネルギーに対し、それを調整したい、いったん落ち着きたいと
いう違う種類のエネルギーが生まれ、それが大きくなり急落となったの
です。マーケットにおけるエネルギーは、発生するとしばらく力をため
て温存します。そしてある日突然、大きな力となって全体に影響を及ぼ
すものなのです。急落急騰が起こるのはこのためです。

天井圏だけでなく、底値でも、エネルギーは作用します。

つまり、個別銘柄を丹念に追いかけていても、全体のエネルギーを見失
うと何の意味もなさないということです。木を見て森を見ず、という状
態では、利益をあげることはできません。

◆エネルギーというあいまいなもので株価は動く

株式投資において株価が上下するのは、内的要因と外的要因、そしてフ
ァンダメンタルズなどのさまざまな理由があります。さらには、マーケ
ットのエネルギーという存在が株価を急落も急騰もさせる大きな力にな
ることもあります。

ところでそのエネルギーとは何なのでしょうか。しかしそれは形を伴っ
ていないものですから、目視することはできません。それをイメージす
るにはまず、需要と供給を頭に浮かべることが必要。需要(買い)と供
給(売り)この二つの量がアンバランスになったときに株価が上下し、
バランスを保とうとするのです。

ただしこの需給バランスには、人間の心理が働くことが特徴で、なるべ
く均衡を保とうとする動きだけならば、株価は急落や急騰はしません。

例を挙げると・・・

ある投資家は、大人気のA株を大量に持っていました。

その株は人気があるため日々株価は上がり続けています。ある投資家は
このため、「だいぶ値上がりしたから少し売ろう」と売りに出しました。

しかし、同じようなことを考えた投資家たちもここで少しずつ売り始め
ました。その結果、需要と供給両方の出来高が増えてきました。さらに
ある投資家は、A株の残りすべてを利益確定のため売りました。

この動きを知った他の投資家は「あわてて」その動きに連動。株価は売
りの方が多くなるので、当然下がります。そうなれば、買いたいと思っ
ていた人も「もっと下がるかも」と買いを控えます。

その結果、ますます売りの方が多くなり、当然のようにまた株価は下が
ります。最終的には、あれほど人気のあったA株は、今は急落株になっ
てしまいました・・・。

こういう事象がしばしば株式投資の世界では起こるもの。

「あわてて」「もっと下がるかも」という、きわめてあいまいな動きに
よっても株価は上下させられます。これが株式投資におけるエネルギー
というものの正体と言えるかもしれません。

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