個人投資家を食い物にするMSCBと第三者割当増資

新興企業を中心とした多くの企業が資金調達の手段として利用している
のがMSCBと第三者割当増資です。大口投資家に対して優先して発行
したり、割り当てられたりするため、個人の投資家にとっては基本的に
縁のないものです。ただ、大口投資家が儲けた分、個人投資家があおり
を受けて損をする構図となっているため、影響が及んでいます。

MSCBとは、転換価格修正条項付転換社債のことで、行使期間になる
と基準価格の2割引きなどの割安な価格で新株に転換できるタイプが多
く、大口の投資家に対して発行されるケースが増えています。つまり、
基準価格決定時に空売りをかけて、社債から株式に転換した後ですぐ返
済すれば、差額が利益になるため、非常にローリスクで確実に儲けるこ
とができます。

大口投資家には有利に働くMSCBですが、反対に個人投資家にとって
は大口投資家の利益の分だけ損をすることになります。また、既存の株
主にとっても、発行株式の総数が増えるため、1株あたりの利益が減る
ことになります。つまり、大口の投資家のみが得する仕組みなのです。

第三者割当増資もよく似ています。第三者割当増資は、一般に市場価格
より低い価格で大口の投資家に割り当てられることが多く、その後市場
価格で売却することで、大口投資家は簡単に利益を手にすることができ
ます。これもMSCBと同様に結果的に発行株式の総数が増えるため、
1株当たりの利益が減り、既存の株主にとっては配当が減少することに
もつながります。

また、第三者割当増資の払い込みと同じタイミングでその企業の業績が
上がるような話が世間に流れることがよくあります。これを材料に株価
は一気に上がります。その瞬間を狙って増資に応じた株式をすばやく売
り抜けると、大きく儲かるのです。

しかしその後、ガセネタであることが判明すれば株価は一気に下がりま
すし、第三者割当増資を受けた後、売り抜けた大口投資家の株も市場に
大量に出回って、売りが優勢になっていることから、株価は大幅に下が
る傾向があります。

短期間での株価の激しいアップダウンがあると、資金力に乏しい個人投
資家はなかなかついていけないものです。大きく損失を出してしまう個
人投資家が増えるのです。これも、大口投資家が儲かっている間に個人
投資家が振り回されて損をする例です。

結局、第三者割当増資やSMBCを引き受けて手数料収入が見込める証
券会社および大口投資家にとっては、魅力的な話ですが、個人投資家に
とっては、デメリットしかないものと言えます。

機関投資家や銀行のディーラー、億単位で稼いでいる一部の個人投資家
は、当事者としてはもちろんですが、マーケットへの参加者という立場
でも、資金力と情報量で少ないチャンスをものにできるのです。

一方、個人投資家は、このようなケースにおいては後手に回ることが多
いものです。SMBCや第三者割当増資が行われる企業への株式投資に
ついては、通常とは違う値動きをすることも多く、波乱の要素が少なく
ないため、大多数を占める一般の個人投資家は、株価が安定するまでは
投資を控えた方が賢明です。

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